ご本山、本願寺出版社から毎月発行される『大乗』2月号に、ご門徒(里中 伊東さゆりさん)が投稿された歌が掲載されました。
住職として、とても嬉しいことです。
黙読といいつつお経の終わりたるも 恩徳讃はつい歌いたく (大分市 伊東さゆり)
作者の伊東さんは、お生まれの家も浄土真宗のご門徒で、お仕事は隣寺の光國寺様で保育士をなされていましたので、恩徳讃は常に慣れ親しんだ歌だったそうです。
また、光國寺様のクワイヤー(聖歌隊)にも長年参加され、恩徳讃を様々なメロディーで歌われてきました。
日々のお勤め『正信偈』もそうですが、『恩徳讃』といえば「浄土真宗」と直結して思われるほどに、浄土真宗に生きる者の身心に染みわたっているのです。
「黙読」というのは、昨秋の「秋季彼岸会法要」にお参りなされた時のことで、ちょうどコロナ感染者が増えて全国的に19都道府県で緊急事態宣言、8県にまん延防止等重点措置がとられており、大分市の感染者も日々増加の一途のなかでの法要でありました。
この時は、僧侶のみが「仏説阿弥陀経」を声を出して拝読し、ご門徒は経文を目で追うという「黙読」となり、申し訳なさを感じながらお勤めをしたのでした。
勤行の後、法話があり、最後にはいつものように「恩徳讃斉唱~」となるのですが、
前奏がはじまると、思わず声を出して歌いたくなるのが『恩徳讃』であり、これも浄土真宗に生きる者のサガなのです。
『大乗』に掲載された伊東さんの歌を、全国のご門徒さん、読者の方は共感して読まれたことでしょう。
さて、『恩徳讃』は親鸞聖人が晩年、85歳以降にご制作の『正像末和讃』の一首で、仏祖の広大なお育てにより、お念仏申し、必ずお浄土に生まれて仏様に成らせてもらう身となれたことを讃えられた歌です。
「如来大悲の恩徳は 身を粉にしても報ずべし 師主知識の恩徳も ほねをくだきても謝すべし」
私たちからいえば、阿弥陀様をはじめ、お釈迦様、七高僧様、親鸞様、蓮如様・・・そしてお寺を建て、護り、法座を開き、家にはお仏壇を用意し、ご法事を営み続けてくださったご先祖様のお陰様、お育てで今の私がありました。
死んで終わっていく命ではありませんでした。阿弥陀様が、お念仏申させ、お浄土に生まれさせ、仏様に成らせてくださる身としてくださいました。ようこそでした、有難うございました…との思いで恩徳讃を斉唱するのです。
コロナ禍が終わりを迎え、はやく皆さん大勢で大きな声で読経をし、お念仏し、恩徳讃を歌いたいものです。
※お家で歌いたいという方は、下の「恩徳讃(YouTube)」から拝聴。
クリックするといろいろな恩徳讃の拝聴や、その心を知ることができます。YouTubeは最初にいろいろな広告が流れますが、「スキップ」できることもあります。